生成系AIを用いた効率的な文献検索の方法

学会発表お役立ち

追記:2024/8/24 perplexityにおけるpubmedからの文献引用

2024/9/5 google chromeの拡張機能を利用したperplexityにおけるpubmedからの文献引用

皆さんは、臨床的な疑問(Clinical question)を解決する時や、臨床研究を行う(論文作成をする)時に、どのようにして文献検索をしていますか?

多くの方は、臨床的な疑問からPECO(PICO)を作り、それをもとにPubMedやGoogle Scholarなどで文献検索を行っているかと思います。

例えば、PubMedの具体的な使用方法については、康永先生の”必ず読めるようになる医学英語論文 究極の検索術×読解術”は名著の一つと思います。この本には適切な文献検索方法だけでなく、論文の読み方まで書かれており、医学英語論文に触れる人がまず最初に読むべき1冊としておすすめです。

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ただ玉石混合の膨大な論文の山の中から目的の論文を探す際に、例え適切なPubMedの検索方法で検索したとしても、100件以上の論文が候補に挙げられることもあり、途方にくれることもありますよね?

そこで生成系AIの登場です。

現在、ChatGPTをはじめとした生成系AIの登場によりWeb検索に革命が起きています。論文検索法にも利用できるようになってきていますので、今回は現時点で私が利用している文献検索に使用できる生成系AIサイトをご紹介したいと思います。

どのサイトも英語で検索ワードや文章を打ち込む必要がありますが、今はDeepL(https://www.deepl.com/translator)がありますので、すぐに和文→英文変換が簡単にできます。

Dr. MON
Dr. MON

私自身は、臨床的な疑問に関してPerplexityElicitでざっと論文を拾い上げて、keyとなりそうな論文を見つけたらconnected papersにて関連論文を見つけるということを基本にしています。そして余裕があれば、ConsensusScholar AIでさらに論文がないかチェックするという感じです。

Perplexity

Perplexity(https://www.perplexity.ai/)は、まず漠然とした疑問を投げかけてざっくりとした文献を抽出するのに有用です。

Webの記事を拾ってくることもあるので、質問の後に”/site:pubmed.ncbi.nlm.nih.gov”を入れるとpubmedから文献を拾ってきてくれます[2024/8/24追記]。簡単なサマリーも文章で示してくれますので便利です。まずはざっくりと臨床の疑問について調べるのに使えます。また松井健太郎先生が、google chormeの拡張機能を用いてpubmed検索ができるような拡張機能( https://chromewebstore.google.com/detail/pubmed-in-perplexity/bcgbinkgdoalmnblbodopdaogieejcpi…)を作成してくださっています(質問に関しては英語で入力する必要あり)[2024/9/5追記]

またperplexityにはもう一つ利用方法があって、論文のPDFを要約してくれます(無料版は数に制限あり)。下記のようにAttachと書かれているところをクリックして要約したいPDFを選択し、”Please summarize”と打ち込めばOKです。

Elicit

Elicit(https://elicit.com/?workflow=table-of-papers)は、perplexityに比べるとまともな論文を拾ってくれる印象です。こちらもサマリーをつけてくれます。

臨床的疑問を検索窓に入れると、関連する上位4論文が要約され、論文リストや要約などが一覧で表示されます。それぞれの論文の概要を簡単に把握できます。

Connected Papers

Connected Papers(https://www.connectedpapers.com/)は、すでにkeyとなる論文があってその関連文献を探すときに利用できます。

検索窓にKeyとなる論文のタイトル名を入れます。そうするとそれに関連する論文を表示してくれます(引用や被引用の関係などから表示されるようです)。真ん中に幾つかの円が表示されます。その論文と関連の深い(と思われる)文献が線で繋がっています。色が濃いものは発表年度が新しい文献、円のサイズが大きいほどcitation回数が多い文献となります。左側のカラムは文献タイトル、右側のカラムには論文のアブストラクトが表示されます。

ただ、関連文献に関しては実際には漏れているものもあるので注意が必要です。

Consensus

Consensus(https://consensus.app/search/)はちょっと変わった形式になっています。

検索窓に臨床的疑問を入れると関連した文献のサマリーと文献の中の関連した文章が表示されます。

論文の下には評価が載っており、例えば上の例だと”Highly Cited(多く引用されている)”と評価されています。論文をクリックすると論文の内容をテキストデータで見ることができます。

さらに左上のSynthesizeの横のスライドスイッチをオンにすると主要な論文の内容が要約され(無料プランだと使用回数は限られているようです)、その結果を集計(Consensus meters)してくれます。例えば今回の”重症肺炎に対するステロイドは有効か?”という問いに対してYesの文献が64%、Noが27%といった次第です。

ScholarAI

最後にScholarAIです。これはChatGTP上のプラグインとなるので、ChatGPT4の利用が必要になります(20ドル/月)。ちなみに無料のChatGPT3.5と有料のChatGPT4では全く性能が異なります。有料なので私自身もためらっていましたが、試しに使ってみたらその性能にびっくりしてしまいました。

Dr. MON
Dr. MON

ChatGPT4を利用して論文執筆を手伝ってもらうプロンプト(ChatGPTへの指示文)なども多くのサイトで紹介されています([chatgpt 論文作成]で検索するとたくさん出てきます)。もちろんChatGPTだけで論文が書けるわけではありませんのであしからず。

ChatGPT4を開き、左側にあるExplore GPTsをクリックし”ScholarAI”と打ち込みます。すると下記のようなアイコンが出てくるのでプラグインします。

知りたい内容(キーワードでも可能)を打ち込むと、関連する論文とその要約が出てきます。その論文をクリックすると本文へ飛びます。

今回私が実際に使っている論文検索に用いる5つの生成AIをご紹介しましたがいかがでしたでしょうか?

ChatGPTが登場した時にはその反応の速さに衝撃を受けましたが、意外と内容が間違っていたりしていて所詮こんなもんかと思っていましたが、”超勉強法”で有名な野口悠紀雄氏の”「超」創造法 生成AIで知的活動はどう変わる?”を読んでその向き合い方が少しわかったような気がしました(この本は生成AIをどう利用していくかについて知りたいという方にオススメです)。この本で述べられているように、生成AIは知的作業の周辺作業の効率化のために使用して、われわれはもっと物事の本質を考えたり、創造的なアイデアを考えることに時間を割くのが良さそうですね。

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Dr. MON
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論文検索に生成系AIを利用するとしても、それぞれに一長一短があり完全に依存するのはは良くないですが、うまく利用すると効率的に文献検索ができると思います。それでもこれらを利用することにより自分自身は臨床研究→論文作成の作業が飛躍的に上がりました。

生成系AIをうまく利用すれば文献検索の時間を大幅に短縮できること間違いなしです!ただし内容吟味については慎重に。

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