抗菌薬を使用していると皮疹をはじめとしたアレルギー反応が見られることがあります。特にβラクタム系抗菌薬は使用頻度も高く、代替薬に困ることもあります。
以下の表はβラクタム系抗菌薬の交差アレルギーに関する表となります。参考文献より日本で主に使用されている薬剤をピックアップして作成しています。
βラクタム系抗菌薬交差アレルギー一覧表
アレルギー反応の重症度の定義
重症
- 急性発症(数分から数時間)し、皮膚、粘膜もしくはその両方が同時に侵される。かつ、以下のうち少なくとも一つを認める。
- 呼吸障害
- 血圧低下もしくはそれに伴う末梢臓器障害症状(失神など)
- 重度の消化器症状
2. 典型的な皮膚病変がなくても、既知または可能性の高いアレルゲンに曝露後、低血圧、気管攣縮、喉頭病変が急性に出現した場合。
3. 重篤な皮膚副反応の危険なサイン
- 小水疱または痂皮、灰色-褐色調のくすんだ皮膚、発熱や倦怠感を伴う皮膚や粘膜のびらん、粘膜の出血性びらん(Stevens-Johnson Syndrome/toxic epidermal necrolysis)
- 膿疱を伴う発疹(急性汎発性発疹性膿疱症: AGEP)
- 紫斑病(血管炎)
- 皮膚以外の臓器病変を伴う丘疹/丘疹;体表面積の50%以上の拡大、検査値の異常(血算、肝腎機能、好酸球数など)
- 顔面浮腫、浮腫、浸潤性皮膚炎。38.5℃以上の発熱(AGEP/好酸球増加と全身症状を伴う薬物反応
■非重症
- 1つの臓器の症状/兆候
- 皮膚:蕁麻疹、紅斑、搔痒感、口唇のヒリヒリ感/搔痒感
- 上気道:鼻症状(くしゃみ、鼻汁、鼻搔痒感、鼻閉など)、咽頭搔痒感、気管支攣縮に関連しない咳、
- 眼瞼結膜:紅斑、搔痒感、流涙
- 臓器病変を伴わない斑状丘疹性紅斑
- その他:嘔気、金属の味
その他
■セファゾリンは、現在使用可能なペニシリン系抗菌薬と共通の側鎖を持っていないため、ペニシリンに対する即時型アレルギーが疑われる症例でも使用できる(Strong recommendation, moderate quality of evidence)。
■即時型のペニシリンアレルギーの疑いの患者に対して、アレルギー検査を行わなくてもモノバクタム系またはカルバペネム系抗菌薬投与が可能である(Strong recommendation, low quality of evidence)
参考文献
The Dutch Working Party on Antibiotic Policy (SWAB) guideline for the approach to suspected antibiotic allergy. Clin Microbiol Infect. 2023; 29:863-75. PMID: 37068548
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