2023年米国感染症学会(IDSA)が注目した15個の論文

ジャーナルクラブ

皆さん去年(2023年)一番印象深かった感染症に関連する論文は何だったでしょうか?

一つも論文読んでなくても大丈夫です。この記事を読めば何が話題になっていたかがわかります!

米国感染症学会(IDSA: Infectious Diseases Society of America)から3つのJournal (Clinical Infectious Diseases、Journal of Infectious Diseases, Open Forum Infectious Diseases)が発刊されていますが、この3つのジャーナルに掲載された論文の中からインパクトのあった論文がそれぞれ5つ(計15個)ピックアップされています。

2023年はどんな論文が注目されていたのでしょうか。早速ご紹介したいと思います。

Best of IDSA Journal 2023

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Contents

Clinical Infectious Diseases

The New Normal: Delayed Peak Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 (SARS-CoV-2) Viral Loads Relative to Symptom Onset and Implications for Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) Testing Programs

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COVID-19とインフルエンザにおける症状出現とウイルス量の関係を示した論文

免疫能の高い成人集団において、SARS-CoV-2のウイルス量の中央値(サイクル閾値および抗原測定による)は、症状発現後4日目頃にピークを示し、対照的にインフルエンザAのウイルス量は、症状発現後すぐにピークに達した。これらの結果は抗原検査の使用の際に考慮する。

Evaluation and Management of Diabetes-related Foot Infections

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糖尿病性足感染症のIDSAのガイドライン(2012)が発表されたのちのデータを専門家がまとめたレビュー

血管外科学会が提唱する糖尿病性足潰瘍のWIFI分類(Wound, Ischemia, Foot Infection)、それによるアプローチ、抗菌薬の投与期間、外科的アプローチ、その他の包括的ケアについてまとめられています。

Antibiotic Myths for the Infectious Diseases Clinician

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感染症専門医による抗菌薬に関する根拠のはっきりとしない内容(Myth)についてレビュー。

-セファゾリンは中枢感染症で避けるべきか

-リネゾリドはSSRI使用中の患者で避けるべきか

-腎障害のある患者でリネゾリドは用量調節不要か

-ペニシリンアレルギーがある患者で周術期抗菌薬でクリンダマイシンは第一選択薬か。

-ST合剤はS.pyogenesに対してvitroで活性がないのか

-経口ホスホマイシンは合併症のない膀胱炎に対して有効な薬剤か

-リファンピシンやゲンタマイシンはぶどう球菌の人工弁感染性心内膜炎に対して必要か

-ドキシサイクリンは妊婦や8歳未満の小児に禁忌か

Mother’days

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COVID-19流行の2020年から2023年の母の日を通して、COVID-19に関連した女性感染症科医のdiary

Fatal Human Rabies Infection With Suspected Host-Mediated Failure of Post-Exposure Prophylaxis Following a Recognized Zoonotic Exposure—Minnesota, 2021

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曝露後予防(PEP: post-exposure prophylaxis)を受けたもののコウモリによる狂犬病により亡くなった一例。ハイリスクの曝露や免疫抑制患者では曝露後予防後の中和抗体価の測定を考慮。

Journal of Infectious Diseases

Impact of Imprinted Immunity Induced by mRNA Vaccination in an Experimental Animal Model

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動物モデルを用いたワクチン接種によるimprinted immunit(刷り込み免疫)に関する東大医科研からの報告

SARS-CoV-2オミクロンXBB亜種の出現により、ワクチンの有効性が懸念されている。ハムスターモデルでは、武漢株由来のウイルスに基づくワクチン接種した場合、オミクロン亜型(例えば、BQ.1.1、XBB.1)感染で誘導される液性免疫が減弱することが証明された。

Dr. MON
Dr. MON

この現象が人にも外挿できるかは不明ですので注意が必要です。

著者グループのThe Sato Lab(2023年6月30日)もX(旧twitter)で概説されています

Respiratory Syncytial Virus Infection: Old Challenges and New Approaches

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RSウイルス感染症とRSワクチンの臨床試験の内容。

Dr. MON<br>
Dr. MON

成人向けのRSワクチンも承認されましたので一度読んでおくと良いと思います。

ちなみにワクチン情報はGSKのホームページ参照(https://jp.gsk.com/ja-jp/news/press-releases/20231212-arexvy-rsv-vaccine/

SARS-CoV-2 Hybrid Immunity: The Best of Both Worlds

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COVID-19流行に関して、ワクチン接種と感染のいわゆる「ハイブリッド免疫」について。

Reduced Exercise Capacity, Chronotropic Incompetence, and Early Systemic Inflammation in Cardiopulmonary Phenotype Long Coronavirus Disease 2019

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COVID-19罹患後1年以上経過して運動能力の低下を認めた。機序としてはChronotropic incompetence(運動中に不適切な心拍数増加)、早期COVID後の炎症、EBウイルスの活性化などが考えられている。

Malice in chains

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侵襲性A群溶連菌感染症を取り巻く現在の状況について(疫学、病原性、ワクチンなど)。

Open Forum Infectious Diseases

Fungal Nomenclature: Managing Change is the Name of the Game

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真菌の名称変更のリストやその根拠についての概説。

Dr. MON
Dr. MON

頻繁な菌名の変更は感染症に携わる人たちを悩ませますね。Candida kruseiPichia kudriavzeviiとなったり・・・。

Effectiveness of the Coronavirus Disease 2019 Bivalent Vaccine

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クリーブランドクリニックで勤務する労働者のCOVID-19に対する2価ワクチンの効果。BA4/5やBQ系統が優勢の時は予防効果があったが、XBB系統になり有効性は認めなかった。

Increased HIV Transmissions With Reduced Insurance Coverage for HIV Preexposure Prophylaxis: Potential Consequences of Braidwood Management v. Becerra

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米国連邦裁判所は、HIVの曝露前予防薬(PrEP)の保険適応に反対する判決をくだし、今後1年間で予防可能なHIV一次予防が2000件以上発生する可能性がある。

Dr. MON
Dr. MON

日本ではHIVの曝露前予防や曝露後予防は自費診療となっています。

Clindamycin Plus Vancomycin Versus Linezolid for Treatment of Necrotizing Soft Tissue Infection

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後方視的研究。壊死性軟部組織感染症に対してクリンダマイシン+バンコマイシン vs リネゾリドの治療において30日死亡率は変わらない。

Two Times Versus Four Times Daily Cephalexin Dosing for the Treatment of Uncomplicated Urinary Tract Infections in Females

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女性の合併症のない尿路感染症に対してセファレキシン500mg1日2回投与は、1日4回投与と同等の安全性と有効性を示した。投与回数を減らすことでアドヒアランスと治療満足度が向上する可能性がある。

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以上、IDSAの発刊する3つのジャーナルに2023年に掲載されたインパクトのある15個の論文の紹介でした。

みなさま、興味を惹かれる論文はあったでしょうか?

Dr. MON
Dr. MON

私的には新しい知見もいいのですが、エビデンスのまだはっきりしていない既存のプラクティスを見直すという点で、Antibiotic Myths for the Infectious Diseases Clinicianが一番面白く読めました。

コメント

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