Cureus(キュリアス):医学論文投稿の新しい選択

論文作成お役立ち

Cureus(キュリアス)というジャーナルをご存知でしょうか?

先日、某コロナ薬の入院患者に対する有効性が報告されましたと某製薬メーカーから紹介されたのがCureusに掲載された論文でした。いやいやCureusに掲載された論文を紹介するの?と思いましたが、一方でメーカーがCureusに掲載された論文を紹介するようになったのかとも思ったものでした。

実は、私自身Cureusには論文を2回投稿して、掲載された経験がありますので、その特徴と実際の投稿体験について触れたいと思います。

Cureus (https://www.cureus.com/)は、スタンフォード大学の神経外科医ジョン・アドラーによって考案された比較的新しいオンライの医学雑誌です。現在はSpringer Natureが発行しており、PubMedにも収載されるジャーナルです(はじめはハゲタカジャーナルかと思っていました・・・)。今やimpact factorもついています(5-year impact factor 1.1)。ちなみに採択率は52%と高いです。論文掲載数は右肩上がりに増えています。

扱う分野は下記の通り幅広いです

このジャーナルの特徴は、独特な査読システムにあります。シングルブラインド方式による事前査読では、最低2人からの査読を必要とします。ジャーナル内部の査読パネルから自動選出される6名と、著者が推薦する5名以上の査読者(reviewer)が招待され、合計で最低11名の査読者が関与する仕組みとなっています。さらに、2日ごとに追加の査読者が自動招待されることで、プロセスの迅速化を図っているようです。

私の投稿経験から驚いたのは、査読者の決定から査読完了までのスピードの速さです。過去に某BMCジャーナルに半年待たされた経験があります(しかもその時は、査読者が見つからないので他のジャーナルに投稿してくださいと言われました(涙))が、そんな長期待機はありません。

査読者プロセスはWeb上で完結するのも特徴的です。査読者からのコメントはオンライン上で確認でき、ホームページ上で論文の修正や査読者へのコメントを書き込みますので、わざわざWordファイルなどで作成したものをアップする必要もありません。

査読の内容に関しては、どのジャーナルも同じですが査読者による指摘事項の差は大きいと思います。一度、査読者から比較的厳し目のコメントをいただいて、大幅に修正したのですが、2回目のreviewを査読者から断られたという経験がありました。どうしたら良いかわからず途方に暮れていたのですが、editorに一応ちゃんと対応しましたよと泣きついたら、アクセプトになっていました。

De. MON
De. MON

査読とは、研究者が論文を学術雑誌に投稿する際に、その論文の学問分野の専門家が精読し内容を評価することによって、掲載の可否を判断する作業のことを指します。英語ではpeer reviewと呼ばれます。この査読者というのは、ジャーナルのエディターから指名を受けてこの論文査読してくれますか?とメールで依頼されます。査読は、その論文を読みこんで、学術的に正しく書かれているかなどを評価し、それに対してコメントをつけていくのでそれなりの時間と労力が割かれます。ですが、完全ボランティアなんです!ということで依頼を受けるというのは名誉なことではありますが、査読依頼を受けるかどうかは研究者の悩みのタネの一つですね。

ちなみに査読の方法って誰にも教えてもらったことはないと方がほとんどかと思います。私自分は「査読の技法(https://amzn.to/4hKROjt)」という本を参考に査読の考え方を勉強しました。

費用面も大きな特徴で、基本的には、掲載料無料です。最近の症例報告を掲載しているジャーナルはオープンアクセスが多く、無事採択されても数十万円の掲載料がかかったりしますのでこれはありがたいです。ただ、著者数または参考文献数の制限を超える論文や、書式や言語の誤りが多い論文については、Prefered editing serviceの購入が必要になります。 私の2回の投稿ではいずれもこのサービスの利用を要求されました。著者数も参考文献数も規定内で、Editageという英文校正会社を利用して投稿したにも関わらずです。なので、この要求される基準は若干不明確な印象があります。ちなみにこの費用は$360でした。ただ論文がリジェクトとなった場合は、$50の手数料を差し引かれて返金されるようです。このサービスを受ける必要がないと判断されると無料になります(2024年11月2日時点で、31%が無料で掲載)。

掲載後は、独自のScholarly Impact Quotient™(SIQ)という評価システムで論文の影響力が測定されます。閲覧数やダウンロード数、引用数、SNSでの言及などを継続的に評価をしているようです。投稿された論文にはSNSぽくコメントを記入することもできます。

世界中の人がアクセスしているようで、日本は12番目に多いアクセス数のようです。

私の中では、現時点でCureusはお蔵入り直前の原著論文や投稿先に困っている症例報告の投稿先の位置付けです。症例報告や教育的価値の高い臨床研究、メジャーな医学雑誌では掲載されにくいでも臨床的に重要な知見を共有したい場合の投稿先として考えても良いのではないかと思います。

ただ日本からの投稿も増えており、従来型の医学雑誌とは異なるアプローチをとるCureusの学術的な価値はこれから判断されていくこともあり、今後注目されていく可能性のあるジャーナルの一つではないかなと思っています。

コメント

  1. 吉崎哲史 より:

     はじめまして。医師10年目の者です。現在は、腎臓内科ですが、循環器、救急・集中治療をやっておりました。
     cureusに今回、初投稿しようとしてますが、参考文献のところをどうイジっても突破できず、投稿できません。先生は、普通に投稿できましたでしょうか?
     ご教授していただけたら幸いです。

    • Dr.MON より:

      ありがとうございます。私も同様の問題を経験しました。原因はDOIのリンクが機能していないことでした。まず入力したDOIをクリックして論文のサイトに正しく飛ぶか確認してみてください。PubMed掲載のDOIが間違っている場合もあるため、必要に応じて正しいDOIを確認してみてください。DOIが正常にリンクする形式で入力することで投稿が可能になります。参考になりましたら幸いです。

  2. みけねこ より:

    医師10年目の外科系医師です。貴重な情報の公開をありがとうございます。

    今回、Cureusに外科系論文を初投稿し、査読された論文を修正、投稿し、
    『I will be approving your article for publication shortly. Please review the approved edited article before you press the Publish button, and if you need any changes or notice any errors, please let me know. It was a pleasure editing your article.』の採択のお返事をいただきました。

    しかし、Cureusにログインし、My dashboardを確認しようとするも、ACTIVE欄がloadingのままで(円がくるくる回っています)、自分の論文がいつまでも表示されません。

    Cureusにメールで問い合わせをしましたが、2日経っても返事がなく、ACTIVE欄もやはり、loadingのままで困っています。先生はこのような経験はおありでしょうか?
    ご教授いただけましたら幸いです。

    • Dr.MON より:

      コメントありがとうございます。
      アクセプトおめでとうございます。
      ただ私自身は経験がなく、申し訳ございませんが対応方法についてはお力にはなれそうにありません。

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